Papersong Bubbles

NARUT0のカカイル創作ブログ。

バレエカカシ8

18日に頂いた拍手のお返事はありがたく明日させて頂きます。とりあえず、今やーっと、バレエカカシの続編が!

前回「カカシさんよ、それはないんじゃないですか?」と言いたくなるような展開で、筆が進まなかったのですが何とかかんとか。そのくせ今回はカカシさんが更に悪化してるんという。。。あーあ。。でも話の流れ上、止むを得なくて…。

このバレエカカシさん、天然で純情だけどゲスいんです、すいません。今回の最後の方でその報いを受けることになります。イルカさんは勿論カカシさんも可哀想になってくる展開で、今回一番つらかった。。。

あ、でも微エロ入りますー♥最近UPしてる絵に比べたらどってこたぁーねーエロなんですが。

 

そして白状しますが、「あ、これ両片思いってジャンルなんじゃ?」と今さっき思い至りました。テキトーでスイマセン。前回と今回、そして次回がこの話の佳境だと思います。序盤でメシ友でマッタリしすぎたかなー。(19日すこし加筆修正しました)

バレエダンサーカカシ×剣道大学生イルカ設定のSSです。まだあと5・6回続きます~毎度のことですが、注意書きに問題なければ以下の折り畳みの本文をどうぞ。
*現代パロ(バレエダンサーカカシ×剣道大学生イルカ)
*設定がシリアスというか、割と暗い。
*最後はハピエンに持ってきます!

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バレエカカシ8(nocturnement  夜想曲風に)

 

「こう暑いのに毎日悪いねぇ」
「いいえ、俺の方こそ無理言って働かせて貰ってるんで」
「働き者だし、海野君が来てくれてうちはホント助かるよ」

 

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あの日は家まで走ったのに、消し忘れた電気に照らされる窓が目に入った瞬間、また涙で視界が曇ってしまう。自宅から逃げるように闇雲に走って、気が付いたら自宅からだいぶ離れた川原にいた。
架かる鉄橋を時々走る電車の明かり以外は何も無い川、7月に入って日が暮れるのが遅くなったとは言え、深夜に近いこんな時間に歩いているヤツなんて誰もいない。

どうしようもなく独りだ。急に我に帰って目の前が暗くなった。というか普通に夜だし、辺りも暗いんだけど。

 

そのまま座り込んで休んでいると、忘れていた天気予報どおり梅雨前線の影響でポツポツと降り出してきた。ツイてない時ってココまでどん底なもんかな。
「……ハハ」
あまりの酷い有り様に言葉が無いのに何故か自嘲の笑いが込み上げてきて、川岸に寝転んでみた。冬だったら凍えて死ぬかも、そしたらカカシさんも諦められるのに…。

バカな妄想をしていたら家路に着くサラリーマンに起こされた。「死んでんじゃねぇかと思った」と言うオジさん、死んでんだか怪しいヤツに近づくなんて勇気あるなぁ。親切なオジさんと、次第に強くなる雨足に速されて家まで帰る頃には下までずぶ濡れになってた。部屋に入ると嫌に冷静になった頭で一応濡れた服を脱いでから布団に潜り混んだ。

 

7月とはいえ雨に打たれて冷えた身体のまま一晩過ごした翌日は、やはり声も枯れ引かない寒気に寝込んだものの、熱に浮かされたはずの頭は妙に冴えていた。

カカシさんから離れる。

それは非常に簡素な決意。この数カ月で親しくなりすぎた関係を、記憶を、感情を抹消して生きていく。初めて出会ったあの寂れた体育館を避けて、小等部の剣道に出向くのもなるべく控えて、平凡な大学生活を送る。あ、大学って言えば、夏休み前の試験期間中なのに今日が土曜日で良かったと思う、現実的な頭に自分でも苦笑いする。大丈夫、何も無かった頃に巻戻すだけだと。

 

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試験は課題提出が4割で、残りのテストも滞りなく終わりを迎えようとしている。カカシさんにフラれてから3週間。

最初の1週間でほとんどの試験は終了し、張りつめていた緊張を解くと急に暇になった。今まで過ごしていた剣道の稽古とカカシさんとの時間が如何に自分の中で大きな位置を占めていたか身に染みると同時に、少しでも暇になると考えが悪い方へ向いていくばかりで、自分自身に嫌気がさす。

 

カカシさんからは携帯にメールが何度も届いて、最初の頃は「試験で忙しい」なんて断りの返事を出していたけど、それすら息苦しい。

ある日昼飯を食べに行った老舗の蕎麦屋でのアルバイト募集を知って、その日のうちに仕事を始めた。時々食べにくる小さなお店で一度カカシさんを連れて来たこともあったっけ。おかみさんが腰を痛めているけど、「今時の若い子はこんな鄙びた店じゃ働きに来てくれないよね」と店主の親父さんが顔をゆがませるのを見て、そのまま出た「俺が手伝いますよ」と。「ああ、これで1人でいないで済む」そんな醜い思いを隠したまま。

 

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イルカさんと連絡が付かなくなって、もう3週間になる。

最初は大学の試験だと高を括っていたものの、あのお人好しの彼からこうも連絡が来ないとは、やっぱりおかしい。
最後に過ごした日のことを思い出すと、どうも不安になる。「好きだ」と言ってくれた彼に、「愛がよく分からない」と言ったことが。その後に「分からないけど、あなたに教えて欲しい」と続けて彼の思いに応えたつもりでいた。「うん」とか「はあ」と、照れ臭いのか小さな声で返事を返してくれたイルカさんに気を良くして、その場は別れた。でも、よくよく思い出すと、照れ臭さに電灯を眺めつつ盗み見た彼の顔は、俯いて零れ落ちた彼の黒髪に隠れて見えなかったじゃないか。

「好き」だと言われて嬉しかったと、愛かは良く分からないけどそれでもアナタが好きだと、あの時なぜ彼の目を見て言わなかったのか。

 

彼の眼。あの真っ黒で闇を吸い込んだような眼は見ないまま別れてしまったのが、今は気にかかって仕方がない。暢気にあの日は「好きだ」と言われたことに浮足立ったまま家に帰って、翌日にまた夕食を一緒に取ろうとメールをした。

「今日はちょっと都合が悪くて」という素っ気ない返事。「明日はどう?」と打つと「明日、大事な試験があるんです」、「○日遊びに行っても良い?」には「いま忙しくて」。

少し苛立ち電話をするとメールと同じ返事を返しあっさりと切られ、何度か繰り返すと彼の方から「今は会いたくありません」と苛立った声が聞こえた。呆気に取られている間に携帯からは「ツー…ツー…」という間の抜けた音だけが響いている。

最初は深く考えなかった歪みが徐々に浮き彫りになって、何が起こったのかと唖然としながらようやく気が付いた。どうやら自分たちの思いが行き違っているんじゃないかと。その時点で、最後に会った日から3週間も経っているという現実に、額を汗が伝った。

 

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慣れ親しんだ道を急いでイルカさんの家に行き呼び鈴を鳴らす。アパートのドアの真横にあるキッチンに面した小さな窓から漏れる温かい明かり。

イルカさん、アナタ家にいるんでしょ?早く顔を見せてほしい。

そんな俺に冷や水を浴びせかけるようにドアがガチャリと音を立てた。扉が開いたんじゃない、目の前で彼との間を隔てた板に鍵が掛けられた。瞬間、頭に血が上って、立て続けに呼び鈴を鳴らし、ドアを叩きながら叫んだ。

「イルカさん、いるんでしょ?ココ開けてよ!」
「……」
「ねえ!聞こえてるのに無視するの!ズルいんじゃない!?ねえ、イルカさんってば!」
「……」

沈黙を守るドアに舌打ちが漏れた。こんなことなら最初に呼び鈴を鳴らすなんて馬鹿正直な手順を踏まずに、ドアを引き破ってしまうんだったと狂暴になっていく思考に小さな声がドア越しに響いた。

「…スイマセン、今日は会いたくありません」
「じゃ、明日くる」
「明日もダメです」
「何でっ」
「帰ってくださいっ」
「イルカさんってば!!」


こうなったら根性比べだと呼び鈴を何度も鳴らしながら、ドアの前を餓えた獣のように歩き回り、最後にはドアを背に座り込んだ。夜とはいえなかなか引かない蒸し暑さに汗が滲み苛立ちが増してくる。キッチンの小さな窓からはまだ明かりが漏れているのが憎らしくて、割ってやろうかなんて思い始めたその時、ふと気が付いた。

明かりはあるものの物音が全くしない。

 

急に頭から血が引いて、再び名前を叫びながらドアを叩きまくった後にアパートの裏に回ると目に入ったのは、不用心に開け放られた薄暗い寝室の窓と、静まり返った室内を陽炎のように白く揺れるカーテン。余りのことに膝が砕けた。

こうも避けられるとは…。

あの優しい彼を追い詰める罪悪感に、このまま自分はイルカの前から姿を消すべきなのかとも思ったが、見慣れた室内に涙が滲んだ。ああ、自分の中で彼の存在はこんなにも大きいのか。

もう後戻りは出来ない。我が儘だと、自分可愛さだと思われても構わない。

持ち主のいないイルカさんの部屋で帰りを待ち、朝を迎え夜になり、再び朝日を浴びた。彼が家を空けて2日間が経ったその時、ほとんど睡眠も取らずにいたカカシは赤い目を擦りながら、ある決意を固めた。

 

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自分の家が怖いなんて奇妙なことだと思いながら、帰れずに2日間が過ぎた。最近は便利なものでホテルに高い金を使わなくても漫画喫茶で何とか夜を明かすことが出来る。

最初の夜に1回家に帰ったもののドアの前で室内の気配を感じ、カカシさんが家で自分の帰りを待っていると知ってしまった。

あの人の考えが見えない。あんな形で人のことを振っておいて、こうやって家を訪ねた挙句に居座って帰りを待っているなんて。

漫画喫茶からバイト先の蕎麦屋に向かい混み合うランチから夕方までの仕事をした後にも一度家に足を延ばしたが、その道すがら携帯を開くとカカシからのメールで溢れていた。そのほとんどが「どこにいるのか」「無事なのか」と安否を気遣うもので、別れる前の優しく穏やかな時間が脳裏に蘇る。


何故まだ変わらず接してくれるのか、この文面からして、もしかして好かれているのか?でもあの別れの日の言葉は?彼がどんな感情でいるのか分からない今、また改めて自分の気持ちや愛情を否定されるのは辛すぎる。

来た道を引き返して駅前の漫画喫茶に入り2晩目の泊まり込みを決めた。最近流行りの漫画を手に席に着いたが、頭に入ってこなくて昔の実家にあった手塚治虫に手を伸ばした。人の深層心理をえぐるような作品に自然と涙が溢れて、今の自分が妙に哀れに思えてならない。

 

座り心地は寝心地とは関係ないのだと、この2日間で学んだリクライニングチェアーに別れを告げて、夏の日差しの眩しい朝に漫画喫茶を後にすると、大学のある学園へ足を運んだ。剣道の稽古の手伝いをしている小等部の控室に着替えがある。

この暑さの中2日も同じ服を着続けた不快感を脱ぎ位捨てて、予備のTシャツにそでを通した。この後バイトに出て、夕方仕事が終わったら家に帰ろう。

カカシさんはもういないと思うけど、万が一まだ俺の帰宅を待っていたら、そしたら今度はきちんと向かい合うんだ。決意を固めて白いTシャツに頭を通したその時、背後で耳になじんだ低い声が響いた。

 

「ねえ…、アナタどこ行ってたの」と。

 

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2日も帰ってこないし連絡も付かないなんて、よっぽど嫌われているとは思うけど、心配でならない。主人のいない家で勝手にイルカさんを待ち、彼のベッドに入って帰りを待った挙句に、決めた。このまま待っていても恐らく彼は自分から逃げるだろう、その前にイルカさんを探しに出ようと。

不用心だとは思ったが、貴重品は家に内容なので窓に鍵をかけて、ドアを開けるとそのまま学園へと駆け出した。どこにイルカは見当がつかないものの、彼と行った全ての所を探すんだと思っていたら、学園内の歩道を歩く彼を見つけた。この3週間1度たりとも見かけなかったというのに。

 

明るい日差しを受けて彼の頭の上で結わえられた黒髪に気が付いた時、衝動で駆け出しそうになったが、ここではダメだと後をつけた。彼が向かったのは小等部の体育館。カカシのバレエ部でも使うし、近頃は姿を見せなかったイルカの剣道部でも使う、その建物の一室に入っていくイルカさん。

「ねえ、何で黙ってるの?」
「……」
「俺、すごく心配してたんだけど」
「…ごめんなさい」
「謝るのは要らないんだけど、ちゃんと俺のこと見て」
「……」
「ね、今日はちゃんと家に帰ってくるんでしょ、俺もアナタのとこ行くから」
「今日はちょっと…」
「じゃ明日」
「明日もダメです」
「何で」
「帰ってください」
「何でか分からないから帰らないよ」


身を斬られるほどイルカの安否が心配だったのは本当。それなのに全く視線を合わせようとしないイルカに先日を同じ様な苛立ちを覚える。

「ね、なんで俺のことそんなに避けるの?」
「避けてません」
「避けてるじゃないっ、全然会えない!何でよっ!」
「……」

「黙ってちゃ分からないでしょ!ねえっ何でよ!俺のこと好きだって言ったくせに!」
「…っ、お、俺は真剣に悩んだのに!どっちも男とかっいろいろ戸惑ったのに!でも抑えられなくてっ、そんなのに、カ、カカシさんは愛なんて分からないって言った!!好きだって言った俺の目の前でそんなこと言いやがった!!ア、アナタを好きだなんて辛いだけだからもう好きなんかじゃないっ」

「……俺が好きだといったくせに……!!」

 

**************************

 

気が付いたら天井と視界にチラチラと揺れる銀髪が目に入った。眼を開くのが億劫になるような頭の痛みに目をしかめながら悟ったのは、カカシさんに押し倒され伸し掛かられている現実。
訳が分かんない。。。胴体も下半身も、どこもかしこも身動きが取れずに身を捩ると、腕の関節を上から無理やり押さえつけられて思わず痛みに声が漏れた。

「っあ」
銀髪が視界を横切ってカカシさんが顔を上げると、酷薄なほど冷たい目に囚われて動けない俺に無理やり口を押し付けて来た。

「ん…んん…っ」
こんなにされて意地でも口なんか開くかと涙を零しながら睨んでみると、更に押し潰されて痛みに弛緩している腕をまとめて頭の上に拘束された挙句、もう一方の手で顎を固定されて強引に口が開いた。

 

「んっ…あ……、ぃあ…」
舌まで入り込んでくる有様で、頭も心も体もズタズタになってる。クチュとか言う音をたてながらヌメついた口蓋を撫でまわされて、思わぬ感覚に変な声ばかり漏れる。

「…ねえ、俺のこと好きなんでしょ」
「…い、いや」
「嫌じゃないよ、こんなキス嫌なら出来ないでしょ」
「んっ、むぅ…、あ、あ」


身を捩っても顔を背けようとしても肉に指が食い込む様な強さで押さえつけられて、カカシさんに激しく口を貪られる。時々見える彼の顔が真剣というより獰猛な野生動物のようで、今更この状況を理解して血の気が引いた。怒らせたとか怖いなんて生易しいもんじゃない。身体を犯される恐怖は冷徹な殺戮者を目の前にしたような絶望感を味あわせた。

「ね、俺のこと好きでしょ。こんなにしても感じてるの」
「…っあ」
「ほらね、ココがどうなってるのか分かる?分かるよね、自分のだもん」

本当に嫌だった。こんな強引で一方的な愛撫と言えない仕打ちに感じてしまう自分が。何より、感じる体に今でも自分がこの人を好きだと痛いほどに自覚するのが耐えられない。
「ちゃんと触ってあげないとね」
「ひぃっ、やぁ、やっ、…や、止めてっ」


腕は抑えられて、馬乗りになったカカシの体重を掛けられたまま、もがいて逃げようと身を捩ったイルカのジーンズをカカシは無理に引き下ろした。

「ね?分かるでしょ?ちゃんと気持ちよくしてあげるから」
「やだっ、バカやめろよ、ひぁああ」
「無駄口なんて叩けなくしてあげるよ、ね、俺のこと好きでしょ」
「す、好きじゃ、ぁ、ない…いぃ…あ」
「ひぃ、あ、あ」
「気持ちいいデショ」
「…あぁ、ぅあ、んっ」
「ふふ、濡れて来たね、イルカさん可愛い」

 

ジーンズと一緒に膝に絡まった下着に目を細めて、カカシはイルカの性器を直に掴んだ。全体を優しく撫でまわして、裏筋をたどり、足の付け根と睾丸の間をくすぐったりと、弱い快楽を与えたかと思ったら、急に鈴口に爪を立てるように乱暴に扱ったり、激しく全体を上下に搔いたりする。

一度は好きだった、いや今でも好きだと自覚のあるカカシにされるこんな仕打ちに体が快楽の悲鳴を上げるものの、「イルカさん可愛い」と昔のように言うカカシにイルカの心が千々に乱れていく。

「ふ、ふぁ、あ、あ、ひぁ、し、しに、った、あぁっ」
「可愛い、イルカさん好き」
流れ続ける涙と一緒にいつの間にか出て来た鼻水やら、口付けでグズグズになった涎で顔は酷く濡れて、イルカの性器もヌチャヌチャと卑猥な音を立てている。もう死にたいと思うほど恥ずかしくて辛くて気が遠くなってきた。

 

「お前何してんだっ!!」
大声に身をすくめると、次の瞬間カカシさんの重みが体の上から消えて視界を占領していたオッドアイの不思議な色合いと揺れる銀色が無くなった。

 

**************************

 

不覚だった。

やっと会えたのに「好きじゃない」とか可愛くないことを言うイルカに頭来て押し倒した挙句、キスをすれば可愛く悶える顔に頭が沸騰するようで無理に彼の身体を蹂躙しようとした。か細く嬌声を上げるイルカに躍起になっていたら後ろを取られ、首根っこを引っ張られて次の瞬間、バカでかい男に殴られた。

「アンタには関係ないデショ」
「関係ないとかそういう問題か!お前は自分が何をしてるのか、ここがどこだか分かっているのか!」
「何だって、その通りナニだよ」

 

自分でも最低だと思う言葉が口をついて出た。

蹂躙とも強姦ともいえる行為を覆い隠せる言い訳の仕方なんて知らない。イビキの怒りに燃える目を見据えて、あえて軽く言い放った。これは軽い問題じゃない、俺とイルカさんの大事なことなのに、部外者のアンタなんかに易々と邪魔される謂れはないと。

「貴様、イルカの信頼を裏切ってよくもそんな真似をっ!!」
「信頼?ハッそんなもん要らないね、この人は俺のものだよ。好きだってそう真剣な顔で言ってくれたんだから、ね」
「カカシさんっ!!」
「…ん?何?」

「「「……」」」

「イビキ先生ご迷惑をおかけしました。あの、ありがとうございます」
「いや、俺は良いんだが、大丈夫か?イルカ」
「ええ何ともありません」
デカいのに謝りながらイルカさんはグチャグチャになった衣服の乱れを直して立ち上がった。

 

「カカシさん?」
「……何」
「アナタに構われて浮かれてる俺をからかうの、そんなに楽しいですか?散々構われてなつかれて…、一緒にいる楽しさを植え付けられて、俺は今更孤独に戻るんだ。…こ、こんな思いをするくらいなら、最初から出会わなければ良かった」
「…何、イルカさん何言ってるの?」
「さようなら」

 

その一言に固まって動けなくなった俺をよそに、イルカさんはデカいのに連れられて部屋を後にしていた。

俺は、俺は一体何をしてしまったんだ。