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NARUT0のカカイル創作ブログ。

バレエカカシ4(SS)

バレエダンサーカカシ×剣道大学生イルカのSS。続きます~。終わり見えない(´・ω・`)
毎度のことですが、注意書きに問題なければ以下の折り畳みの本文をどうぞ。
*現代パロ(バレエダンサーカカシ×剣道大学生イルカ)
*設定がシリアスというか、割と暗い(カカシパパの自殺とか)
*最後はハピエンに持ってきますが、現段階はまだまだ。

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バレエカカシ4(capriccioso 気のおもむくままに)

私立木ノ葉学園は幼稚部から大学部まで多くの生徒を持ち、近隣では有名な学園だ。都内とはいえ私鉄の最寄り駅からは徒歩で15分ほどかかり決して利便性が良いとは言えないが、その分都心とは思えないような自然に溢れた敷地を有している。
のんびりとした気分は悪くない。
これから2年過ごすことになる日本に着いて1週間が過ぎたが、今焦って観光する必要もないと、カカシはこの学園内での散歩を日課にしていた。陽が陰る前の2時間程ブラブラするようになってから3日目になる。
今日も来ているだろうか。
初めて学園に足を運んだその日の午後、敷地内の端に位置する小さな体育館で見かけた青年。どうやら毎日夕刻に1人で稽古をしているようで、最初はただの物珍しさから眺めていたが、1日2日と繰り返すうちに彼の真剣な顔つきが気になった。
時折見える寂しそうな何かに堪えるような顔の他に、どういう表情をするんだろう。
声は高いのか低いのか。こちらを向いて視線を合わせることは出来ないか、そんな誘惑にからるたびに自嘲しながらもなお、あの体育館へと足を向ける日々が続いていた。


それは小さな思いつきだった。
小さな体育館。あの青年が竹刀を振るう空間で踊ったらどんな気持ちになるのか。
誰に見向きもされないような、うらぶれた体育館はロンドンの稽古場の方がよっぽど設備が良いかもしれない。それでもこの数年は稽古以外で自分の欲求からバレエを踊ろうと思ったことのないカカシだ。
自分の心に戸惑いを覚えつつ、まだ誰も中にはいない体育館の扉に手を掛けた。
あの彼の邪魔をしてはいけないと夕方になる前に来たが、いつも青年を包みこむあの夕陽の美しさを感じられないのは少し残念だ。
荷物はあまり無い。

稽古着にしているTシャツとボトムス、男性用のバレエシューズ、音楽をかける携帯と小型のスピーカー。それだけをコンビニで貰ったビニール袋に入れて持ってきた。
この数週間手もつけなかったバレエシューズを締め上げ、足の甲を反らして柔軟すると同時に戻ってきた感覚を頼りにバレエの世界へ舞い戻った。


この春で大学生活も2年目を迎える。
最初は慣れない都会での暮らしや地元の小さな高校とは違う大きな校舎での授業など、戸惑いも大きかったが段々と馴染んできたように思う。親を亡くした子供というのは地方の小さな町では珍しかったが、都会では1人で暮らし、孤独に淡々と日々を過ごしている人も多く、自分が特別変わったものではないという変な安心を得た。
街を行き交う人々はお互いに無関心で、「可哀想に」という憐みの目を向けられることもない。大学に進学してからの1年、あらゆる意味で1人でいることに慣れた気がする。
諦めてるのかもしれない。
心のどこかでそう思う。悲しさや寂しさを誤魔化して生きてると気が付いてはいてもだからと言って何が出来るんだろう。
暑くも寒くもない春の気候のように、まとまりの付かない思いを抱きながらイルカはいつものように木々の間をぬって体育館へ向かった。

…………。
体育館に近づくと聞こえて来る小さな音。小等部が新しい体育館を作ってからは使う人も少ない場所から、春休みだというのに物音が聞こえてくるのに小さな違和感
を覚えながらイルカが近寄ると、そこには1人の男がいた。
光を受ける眩しいほどの髪と手足の長い肢体。見たことのない顔というだけではなくその動きを見た時、イルカは自分の心臓が竦み上がるような、激しい何かを感じた。


独特の歌い方と物寂しげなメロディーの歌。
よく見ると外国人のような青年がクルクルと廻ったり跳躍したりする、その動きに夢中になってしまい、イルカは息をするのも忘れるように見つめた。
青年が最後に両膝を地面に着いたポーズをとり、呆然としたような顔で舞を終えるとこの一曲が時間にしたら然程長いものではなかったのだと、イルカは惚けた頭の片隅で思った。

「あ、あぁ」
無意識に漏れてしまった声に気が付いたのか、青年がこちらを向いた。

「あ、あの、、、W…What kind of dance was it?(今の踊りは何ですか?)」
「Er…えっと、バレエだけど。」
透けるような銀髪に見惚れていたら、綺麗な日本語が返って来るなんて。
「バレエって、女の子がフワフワのつけて踊ってるバレエ…ですか?」
「ふふ…うん、そーだよ」
「…俺、女の人のも見たことないけど男の人のバレエ初めて見ました。綺麗。」
「え?」
「とても綺麗です。こんなに綺麗なもの見たことないかも」
「…ありがとう」


カカシが踊り終わると体育館の入り口近くで小さな音がした。
見上げるとそこに立っていたのは、毎日見に来ていた剣道の青年で照れたような驚いたような顔をしながら話しかけてくれた。
「綺麗」それはカカシのバレエに対して何度もかけられてきた褒め言葉だったが、こんなに綺麗な顔から、綺麗な口から発せられたことはなかった気がする。
この人の方がよっぽど綺麗なのに、そう思うと嬉しい反面せつないような複雑な気分だ。

「……?どうかしましたか」
「いや、うん、ただ、そんな「綺麗」とか言ってもらえるようなもんじゃないから。曲も暗くて酷い曲だし、綺麗とかじゃないよ」
「そうですか。でも俺は綺麗って思ったんです。たしかに曲は悲しい感じだったし、あなたの顔も踊ってるとき苦しそうだったり切なそうだったりしたけど、でもやっぱりとても綺麗だった…」
「おんなじだね」
「え?」
「あなたがココで剣の練習してる時と。綺麗だよ、すごく。でも時々悲しそう」
「俺のこと知ってるんですか」
「うん、今週見かけてからずっと気になって見に来てた。ごめんね。今度は俺のことあなたが見つけるなんて、ふふ。」
「そうなんだ…」
「うん…、勝手にごめんね。でもあなたの剣もすごく綺麗だよ。真剣な顔をして1人で練習してるから神聖な感じ。でも寂しそうな顔をするよね」
「……」
「……」
「…えっと…」
「ごめんね、変なことを言ったかな。でも俺とあなた、似てるのかもしれない」

「おんなじ」「似てる」そんなことを言わるなんて。
ほんの数分前に話し始めたばかりの名前も知らない外国人。
だけど見上げた先にある彼の端正な顔の中、寂しげに揺らめく眼は鏡の中で見知った自分のものと似ていると漠然と思う。
「っ…」
訳の分からない涙が出そうになって、恥ずかしさにうつむいたイルカの視線の先に差し出された手が映り込んだ。

「カカシ、俺はカカシ。あなたの名前をおしえて?」
「イルカ、うみのイルカです」

顔を上げられないまま、目の前の手に自分の手を伸ばすと温かく包まれた。
気が付けばもう夕暮れ時。オレンジ色の光に包まれた静寂の中、カカシとイルカはお互いの手を離せずにいた。

 

******************

 

出会い編でした。暗いよね。。。すんません。。。が、がんばるぞいっ!
バレエのカカシさんは聞き分けの良い子で育って来てて、エロとかアホとか無縁なタイプなんだけど、一歩踏み間違えると天然タラシになりそうで怖いです。


更に暗くなるのは分かってるんだけど、カカシさんが踊ったバレエの曲の歌詞+和訳(テキトーな解釈和訳)を載せます。
ちょーちょー病んでるから、割と暗部カカシっぽいと思うのね。暗いよー。。。

My lover's got humour
She's the giggle at a funeral
Knows everybody's disapproval
I should've worshipped her sooner
俺の恋人はおかしいユーモアを持ってて
葬式で思い出してはクスクス笑ってるし
皆それを非難するって知ってるんだけど
俺はもっと早くからあの子のことを敬うべきだった

If the heavens ever did speak
She's the last true mouthpiece
Every Sunday's getting more bleak
A fresh poison each week
もし天国が何か話しかけて来てるとしたら
あの子が最後の本当の代弁者なんだ
日曜は教会で、より絶望に近づいてくし
毎週毎週新しい毒を盛られてるようだ

We were born sick", you heard them say it
俺らは産まれながらに出来損ない、そう言ってるのを君も聞いてるだろ

My Church offers no absolutes
She tells me, "Worship in the bedroom"
The only heaven I'll be sent to
Is when I'm alone with you
俺の教会には絶対的な許しなんて無いけど
あの子は言ってくれた「ベットルームで祈って」って
だから俺が持ってる唯一の天国は
あの子の2人でいるときだけなんだ

I was born sick,
But I love it
Command me to be well
Amen, Amen, Amen, Amen
産まれた時から出来損ない
でもそれが好きなんだ
良くなる方に導いてくれ
アーメン…

Take me to church
I'll worship like a dog at the shrine of your lies
I'll tell you my sins and you can sharpen your knife
Offer me that deathless death
Good God, let me give you my life
教会へ連れて行ってくれ
君のでっち上げで塗り固められた祭壇だって、有難がって拝んでやる
犯した罪だって白状するから、そしたら尖ったナイフでいたぶるんだろ
終わりのないくらい死にそうな目に合わせるがいい
ああ神様、俺の命を君にあげるがいいさ