Papersong Bubbles

NARUT0のカカイル創作ブログ。

スレスレにタッチミー。

スレスレにタッチミー。

大学生カカイル妄想SS。
はたけ違いと最後の「Suck of life」が書きたいだけの妄想。
カラオケに行ったら、イルカ先生はちょっと古い歌とか歌うと思う。
イルパパの影響で古い英ロックとか好きそう。
カカっさんはその点、ちょっとマニアックなインディーズとか聞いててスカしてそう。イルちゃんが男は直球エレカシ+イエモンなのに、カカっさんはイエモンは家で聞いて、他人とのカラオケはラルクとかミスチルとかモテソングを歌う子。

SSとか初めてでダメダメだけど、案外楽しいなぁー。本文たたむっす。

 

1
「ねぇ、それ譲って」
その人はいきなり俺の背後に現れて、そう言った。
図書館の蛍光灯を背後に背負って現れたその人は、猫背なのか顔が見えない。
呆気に取られて「はぁ」とボンヤリした返事が口に出るだけで、頭が働かねぇ。
「じゃ、アリガトね」
いやいや、待てよ。その本読んで来週の課題書こうと思ってたんじゃなかったのか俺。

「あ、あの」
「うん?あ、ゴメンね、この本すぐ読みたかった?」
「いや、えー…と今月末の課題で使おうかなと…」
薄暗い本棚に囲まれた、地下の近代文学コーナー。
背の高いその人を見上げると頭上の蛍光灯がまぶしくて、気が付いた。
この人の髪、キラキラした変な色してる。
流石に都内の大学には、こんな派手な髪をした人もいるんだと変なところで感心した。と同時に、こんな目立つ人は俺みたいな新入生じゃないなと今更慌てる。

「いや、まだ提出期限に余裕あるんで、大丈夫ですっ」
「そんなこと言っても、俺の道楽より課題優先デショ?」
「いやいやっ先輩の後に棚に戻ったら借りるんで」
「そう?でも俺あんま大学来て無いのよね」
…どーすんだよ。
本音を言えば銀髪さんに諦めて貰えると助かるけど大学の上下関係って厳しいのか?入学してまだ1か月、いきなり揉め事はキチーな。
「じゃぁ、俺が読み終わったらアンタにすぐ連絡するよ。新入生なんでしょ?課題なら他の子もこの本使うかもしれないもんね」
そう言って自己完結した銀髪さんはペンをサラサラ言わせながらメモを書いて寄越してきた。
「コレ、オレの連絡先ね。アンタのも教えてくれると助かるんだけど」

そう、これが俺とはたけ先輩の最初の接触。

 

2
「畠芋之助だから」
変な出会いをした先輩は、ちょっと変わった人だった。
先週、図書館の薄暗い地下1階で会った先輩は「はたけカカシ」という名前らしい。俺が借りようとした泉鏡花の『黒猫』を颯爽と借りていき、その2日後にメールを送って来た。いわく「クロネコ宅急便、取りにおいで。はたけ。」だ。
普段メールをしない俺には、捻りが効きすぎてて、理解すんのに数分固まった。

食堂の前のベンチに座っている先輩は、日光を浴びて髪がキラキラしてる。こういう色って染めるだけでこうも綺麗に出るもんかな…下向いてて、つむじしか見えねぇ。

「すいません、お待たせして」
「んー良いよ別に。俺そんな単位取ってないから暇だし」
意外に気さくな先輩は、読んでいた本に影が入って俺にすぐ気が付いたらしい。
メールは最初の訳わからんクロネコ宅急便の後にも、数回続いた。本を図書館に戻したという連絡かと思いきや、もう読み終わったから俺が使い終わったら図書館に返してほしいんだそう。
「それはまた別の小説なんですか?」
「あ、これね。泉鏡花の『外科室』だよ、短いからすぐ終わるけどね」
「へぇー、はたけ先輩ってもしかして国文ですか?」
「んーにゃ、外語だよ。読書は単なる趣味なの」
確かにこういう派手な人は国文より外国語って感じだ。

「趣味で泉鏡花ってのも、なかなか渋いですね」
「畠芋之助だからね」
「は?」
「泉鏡花の昔のペンネーム。ダサいよね。でも俺と同じ名字だから読んでみようと思ってさ」

やっぱりこの人は少し変わってると思った。

 

3
教育学部の俺と外国語学部のカカシ先輩は、あまり授業には接点がないけど時々連絡を取ったり、一緒に昼飯を食べたりした。先輩は変わってるけど、面白い?人で、そして案外良い人だった。
必修の一般教養情報を教えてくれたり、俺が苦手にしてる英語を見てくれたりする。見た目がガイジンみたいな上にネイティブレベルとか、もげろと思いつつ「なんだか悪いっす」と言ったら「気分転換」らしい。

高校の時は、クラスの連中に合わせて自分の性格以上にバカ騒ぎしたり明るく過ごしてきたけど、本当はこんなのんびりした付き合いの方が落ち着くんだよな。飯も学食の中では美味しめのを教えておごってくれるし、すっげー良い人で第一印象で人は判断できねぇとちょっと反省した。
「6月になってさ、大学生活にもだいぶ慣れてきたんじゃない?」
そう言って先輩は夜も一緒に飲みに行こうと言ってくれた。
新しい生活に適応すんのに時間がかかった俺を待っててくれたのか、マジ優しいな。「仲良くなってすぐに誘うとか緊張するデショ」と微笑んで言う先輩の顔が微妙に赤くておかしい。
年上なのに可愛いと思うおれもどうかと思う。

メールをするようになってすぐ「はたけじゃなくてカカシって呼んで?最初が芋之助なだけに、はたけ呼びはちょっと萎える」と言い出した先輩。今では俺のことも「イルカ」って呼んでくれる。
中高は格好つけたい年頃っていうか、みんな苗字呼び捨てだったから名前呼びとか両親以来じゃないか?照れんな。

夜は渋谷で飲んで食ってたら楽しくなってきて、カラオケに無理やり誘った。
「俺、そんなに今どきの歌詳しくないよ?」
「俺もっすよ、最近のポッポスとか聞かねぇし。」
「でもイルカはゆずっぽいじゃん」
「ゆずに失礼っすよ。あんな爽やかでもTシャツでもないし」
「そう?それならコブクロとか?」
「うーん、よく分かんねぇ。家のオヤジが好きで聞くロックとかばっかっすよ」
「じゃ俺と一緒だね」
趣味から音楽の話になって、勢いと酔いに任せてカラ館に足を延ばしてる俺たち。案の定、路上には客引きでハッピを着た店員が割引券を配ってるんだけど、見事に目がハートだな。イケメンってスゲェ得なのか、くそ、もげろ。

「イルカから先に入れていーよ」
「いや、こういうのは年配の方からどーぞっ」
「年配って言い方ヤメテ。4つしか離れてないから。その年上命令で先に歌って♥」
「ハイ、マイク♥」
「うへぇーーー。んーーじゃ、これ」
ピッピッとボタンを押して選曲してすぐに機械をカカシ先輩に渡す。
あ、マイクマイク。前奏無いから用意してねぇと。

♪ファスナーを~ おろ~して~ 強く強く Hold me tight
 女はぁ~獣さぁ 君には必要ない Oh honey 僕は君の~
 Honey 虜だよ~ Oh honey 誰にも渡さな~い

「Burn」とか「Spark」みたいにメジャーじゃないけど、やっぱイエモンの「Suck of life」は楽しいなぁ、1ッ発目はこれじゃねぇと気合入んねぇ。

♪Be my sucker of life

あー爽快!久しぶりだけど偶にはカラオケもイイもんだよな。横を見たら、カカシ先輩がやたら赤い顔してハイボール飲んでるんだけど。あっヤベェ、外語の人の前で英語の歌詞が混ざった歌とか、俺の発音おかしかったか?クッソ今更恥ずかしくなってきたな。
「イ、イルカさ、イエモン好きなの?」
「好きっすよー。うちの母親イケメン好きのミーハーだから吉井さんの大ファンだったらしくて」
「へぇ…俺も好きだよ。イエモンね、じゃ俺も歌うかな」
そう言ってカカシ先輩が入れたのは「薔薇娼婦麗奈」だった。一発目から超ウケるから一緒になって「麗奈ー!!麗奈ー!!」って言ってたら、先輩が麗奈のトコを「イルカー!!」に替え歌してきた。
何この人、マジ超ウケんな。
その後は選曲の機械の履歴を全部イエモンにしよう!と盛り上がって、あっという間に4時間が過ぎた。
俺はそのままオールするつもりでいたけど、先輩はダレてきた。先輩の家が祐天寺だっていうから、俺は漫喫だなーって言ったら「ウチ来る」だって。酒でやられてる俺は「イクイクッ」言って、タクッてお邪魔することにしたんだけど。

なんで先輩と裸で寝てるんだろう?(←今ここ)